Excel見積の弊害


Excelを使った見積書作成・管理の問題点

まだExcelで見積書を作っていますか?


Excelはとても便利なツールで、広く普及しています。そのために、見積書など計算を伴う文書作成に使われていることが少なくありません。
営業担当者の数も少なく、見積書の作成件数も少なく、提出する顧客先も多くない場合には、Excelによる見積書管理でも何とかなるでしょうが、営業担当者が3名、5名と増えてくれば退職などによる入れ替えも発生して10名20名での共有と同じようなことになり、顧客数が増えれば当然作成件数も増えて、個々のPCにしまい込まれたExcelでは管理し切れず、共有サーバーなどで管理しても必要な情報が思うように取り出せないなどの問題が生じます。
ここでは、Excelによる見積書作成や管理における問題点を整理してみましょう。

問題点 1

担当者個々人による属人管理になってしまい、不在時や退職時に会社として対応できない。

担当者が勝手に作成し、自分のPCで保管していると、本人以外にはその見積書の存在すら分からず、不在時はもちろん、退職した場合にもきちんと引き継がれなければ行方不明となってしまいます。これでは、会社として責任を持った顧客対応ができません。

問題点 2

同じような見積書なのに、共有されていないのでAさんもBさんもCさんも1から作成しなければならない。

同じ会社で、同じ商品を扱っているわけですから、営業担当者がそれぞれ似たような見積書を作成することになります。その時にミスを減らし作成の時間短縮をするには「使い回し」「再利用」したいところです。見積書が共有されていなければ、他の人が作成した見積書を参考にすることも再利用することもできません。

問題点 3

担当者が勝手に書式を変えたり、間違ったまま提出したりしてトラブルになりやすい。

最初は会社として定型のフォーマットがあったとしても、Excelで作成したものだと簡単に書式を変えたりできるため、便利ではありますが、それが定型を崩し、個々の我流見積書ができ上がることになります。上司のチェックや承認もなく見積書が提出されれば、間違いも発見できず、大きなトラブルにもなりかねません。

問題点 4

営業担当者が外出時にPCを紛失したりすると 見積書データという営業秘密情報が流出してしまう。

Excelで見積書を作成したり管理していると、余程管理を徹底しておかないと、担当者のPCの中に保存され、もしそのPCを移動中に紛失したりすると重大な情報漏洩につながりかねません。あってはならないことですが、つい魔が差して競合企業に見積データを見せたりしても誰にも分からないことになります。

問題点 5

担当者に属人化しているので、ちょっとした修正や再発行でも事務スタッフなどに依頼できない。

見積書をexcel管理にすると簡便にできているように感じますが、外出時にバックオフィスのスタッフに依頼して修正したり再発行、再送付してもらうといったことも出来なくなり、結局は担当者本人がやらなければならないことになります。それによって顧客対応が遅れたり、見積書の送付モレが起こったりすると業績にもマイナスです。

問題点 6

顧客ごと仕入先ごと商品ごとに違う値入率、掛率、原価などの 管理が不徹底となり間違った条件で見積書を提出してしまう。

同じ商品を扱っていても、顧客ごとに値入率や掛率が違ったりすることがよくあります。Excelで見積書を個人管理させるとその辺りが徹底できずミスが生じやすく、また同じ顧客の別拠点や別部署にバラバラの条件で見積書を提出したりといったことも起こって、顧客クレームとなることも少なくありません。

問題点 7

バラバラに作成されると、見積管理番号などを付与できなくなり、後々の管理が煩雑となり余計な手間がかかる。

見積書は、作成し客先提出して終わりではありません。受注時のチェックや条件確認などに必須であり、それらの情報は営業部だけでなく、経理部門など他部署にも影響を与えるものです。そこで通常は見積書が発行された時点で、見積管理番号などのコードが割り振られ、組織的に管理しやすいように整理されるわけですが、Excelでの作成・管理では通し番号が付けられず管理が後々煩雑になってしまいます。

問題点 8

上司の承認印や会社の角印などを押印することができず、外出中に発行、客先提出ができない。

営業活動に付きものの移動時間を有効活用するためには、外出中にも見積書の作成や発行、客先送付がしたいところですが、Excelでの作成管理では上司承認はもちろん、押印などもできませんからわざわざ会社に戻らないと見積書の発行すらできないことになってしまいます。これでは「働き方改革」も進みません。

問題点 9

販売管理・会計システムなどへのデータ転送、連携ができず、再入力の必要がある。

見積書のデータは、受注処理、発注処理などにも必要となるデータであり、それらがデータ転送、連携できると入力の手間も減りミスも生じません。しかしExcelでの作成管理では、ITを使ってはいても、データの連携がとれませんから二度手間、三度手間が発生するか、自動化するにはRPAなどの別途高額なツールを導入する必要が生じるという本末転倒なことになってしまいます。

問題点 10

せっかく見積書を作成して案件金額、見込金額が確定しても、営業見込管理のために再度入力したり計算し直す必要が生じる。

見積書の作成や客先提出は、営業プロセス管理、商談進捗管理の重要なトピックです。そこで見積書作成した内容は、営業見込管理にも転用し、SFAなどのツールにもデータ連携したいのですが、Excelでの見積書管理だと再度入力したり、コピー&ペーストするような手間が発生することになります。それではITを使っている意味がありません。