導入・成功事例

株式会社竹虎


1914年(大正3年)の創立以来、100年の長きにわたり、医療衛生材料や医療機器、介護用品などの製造・販売を通じて我々の生活を支えてきた竹虎グループ。「医療 」「福祉」「健康」 を融合させ、一体とした製品開発体制を整えるべく、 医療分野の「株式会社竹虎」と福祉分野の「竹虎ヒューマンケア株式会社」を統合し、2012年10月、新生「株式会社竹虎」をスタートさせた。今回は新会社のトップとして経営改革をリードする取締役社長飯島幹夫氏と、営業支援システム推進の旗手であるメディカル事業 部執行役員 部長 長内快晴氏にお話を伺った。

はじめに、約100年にわたって事業を継続させてこられた、御社の強みをお聞かせください。

 弊社では長年にわたって、医療従事者や介護する方・される方といったエンドユーザーの要望を積極的に取り入れて、製品開発を行なってきました。グループで自社工場も保有していますので、お客様ごとの個別のオーダーにもきめ細かくお応えする少量多品種生産が可能です。医療現場のニーズというものは本当に多種多様で、たとえばガーゼ一つとっても、施設ごとに使いやすい織り方というのは変わってくるのです。決して効率的なビジネスではありませんが、エンドユーザーの戸をダイレクトに聞いて、それにタイムリーに対応してきたことが評価されているのだと思います。
また、言われたモノをただ作るだけでは価値が低いので、研究開発部門には、営業担当者が現場から吸い上げた顧客ニーズに竹虎ならではのスパイスを加えて、お客様も考えていなかった「夢」を持った商品開発を要求しています。これは、海外からの仕入品でも同様で、単に右から左にモノを流すのではなく、日本の医療・福祉現場を熟知した我々の手で日本仕様・日本基準・日本品質に合わせてアレンジして販売しています。

そのような御社の強みをより活かせるように、御社では営業スタイルを大きく転換されたそうですね?

 はい。限られた経営資源のなかで、メーカー機能を強化し、かつ全国のお客様に商品を提供するめに、5年聞かけて直接販売から代理店経由での間接販売体制にシフトしました。ただし、先ほど申し上げたように、私たちの生命線は製品使用現場からのダイレクトなフィードパックですから、これを途絶えさせてはなりません。そこで、主要な医療機関とのネットワークは保ち、自分たちの足で直接アプローチして情報を集めるという営業活動は継続しています。

新しい営業スタイルにおける、弊社営業支援システムの活用方法をお聞かせください。

 第一に、ユーザーの要望やニーズを製品開発にすばやく伝達する情報神経網としての活用です。お客様が積極的に改善要望やクレームを発すればわかりやすいですが、多くの場合は「言うほどのものでもない 」「まあ、これで十分か」といった具合で、わざわざメーカーに連絡したりはしません。そうした声にならない声を営業担当者が現場へ足を運んで引き出し、経営陣や研究開発部門に伝達する経路として活用しています。もちろん神経ですから運用スピードが肝心です。 NIさんの営業支援システムは日報がベースですから、情報がデイリーにやりとりされ、スピーディな情報共有を実現しています。
 次に、そうして開発した新製品のマーケティングです。新製品をリリースする際には、「きっとこういうところに売れるのではないか」とお役に立てそうなエンドユーザーを、各営業担当者が一人につき毎月5件、40人で合計200件ピックアップして営業支援システムに案件登録し、ターゲットリスト化します。そうしてリスト化された見込客に対して一斉に提案を行ない、お客様の反応をモニタリングし、仮説検証していきます。仮説が当たればより深耕し、外れた場合にはターゲッティングや提案方法を見直していきます。
 もちろん、個々人に任せっぱなしではなく、日報での情報共有に加え、マネージャーと各担当者が週次でリストを見ながらミーティングを行ない、進捗状況や顧客の反応をヒアリングして、次の活動計画に落し込みます。またそうして集めた情報をもとに、経営陣とマネージャーで仮説をブラッシュしていきます。
 これを3 ヶ月間繰り返し、延べ的600案件のデータを製品開発部で分析し、また営業勉強会で採用事例や失注 事例を検証して、有力なターゲットや有効なセールスポイントを割り出します。そうした「売るための使える情報を代理店に持ち込んで、販売促進していきます。

御社では営業社員の直行直帰に取り組んでいると伺いました。

 週に1回のミーティングの日を除いて、100%直行直帰です。限られた人数で全国対応し、またエンドユーザーにも代理店にも訪問しようと考えると、やはり1日あたりの訪問件数を増やす必要があるからです。これを実現しようとすると、顧客情報や商談情報を共有し、社外からでもアクセスできるシステムが不可欠です。また、直行直帰によって訪問件数を増やし、きっちりと種を蒔いて案件数を増加させるということを意識付けるために、そのベースとなる「商談件数」をKPIとして設定して、営業担当者の評価項目に組み込んで、日報システムでモニタリングしています。
さらに、数多く回ることばかり考えているだけでは営業の質が上がりませんので、どういう先に、どの時間帯に、どう提案したら効率良く採用されるのか 。それを商品別に見るとどうなのか。業態ごとの訪問頻度と営業成果とはどのような相関にあるのか。日報システムに蓄積された現場データを様々な角度から分析し、ここでも仮説検証スパイラルを回転させています。

日報入力率の向上にあたって、管理職の評価も工夫されていると伺いました。

 私どもは、紙での手書き、Excel、そしてNIさんの Sales Force Assistant 顧客深耕へと、日報の仕組みが進化を遂げてきましたので、現場からの抵抗や反発は無く、むしろ入力が効率化されたり情報活用度が高まったりと歓迎されました。ただ、そうは言っても、いつの時代も部署や拠点によって入力率にパラつきが見受けられたのですが、これはマネージャーが日報を使ってマネジメントしているかに依っていました。
そこで、このマネジメントスタイルを全社的な取り組みとして徹底させるために、IT日報に対するコメント入力率をマネージャーの評価項目に組み入れました。決してウェイトが大きいわけではありませんが、会社としてこの取り組みが本気であるということを示しています。そもそも部下が一生懸命書いてくれた日報をろくに読まないこと自体、管理者として問題です。

最後になりますが、次の100年に向けた展望をお聞かせください。

 私どもは、新たな事業テーマとして「医療と福祉の統合・融合」を掲げています。日本が迎えつつある超高齢化社会において、医療と福祉は誰しもが避けて通れません。そこで、弊社では、両者を一体として捉え、さらに健康という軸を加えて、個々人の生活と生命をサポートするという独自領域を創っていきます。それを具現化するために、医療分野の「株式会社竹虎」と福祉分野の「竹虎ヒューマンケア株式会社 」を経営統合し、それぞれの分野で培った専門ノウハウを活かして、在宅医療も踏まえた独自の「生活福祉用品」「生活医療用品」の開発に取り組んでいきます。また、海外マーケットにもチャレンジしたいですね。これまで我が国は、福祉先進国と言われる北欧の考え方や商品を輸入することが多かったですが、これからは逆に、人口減少・超高齢化先進国として、日本流の考え方や価値観、生活習慣から新しい福祉の在り方を構想し、発信していきたいと考えています。その第一歩である間接販売体制へのシフトは完了したので、次はエンドユーザーへのアプローチを強化していきたいですし、Sales Force Assistant 顧客深耕も、ニーズや活動を分析する「本部のためのツール」から、個人の営業活動をアシストする「本人のための営業支援システム」に育てていきます。そのためにも、社内でどんどん成功事例を出して、社員を啓蒙していきたいですね。

医療の熱意と回復への願いで作られた<あんしん>の医療用品、介護の現場とお客様の声を大切にした<やさしい>福祉用品、健やかな暮らしのサポートを担う<ぬくもり>ある健康用品。三分野の融合で独自の事業ドメインを描く同社の経営支援を通じて、人々の幸福な暮らしの実現に貢献していきたい。

導入製品

業種 導入年月 導入製品
卸売業 2006年6月

 ✔ Sales Force Assistant 深耕創造

 ✔ 顧客の声

 ✔ 見積共有管理


企業概要

株式会社竹虎
本     社 〒140-0013 東京都品川区南大井3-4-10
Tel 03-3768-9683
設     立 1914年(大正3年6月)
代  表  者 代表取締役会長 竹下 雄大 取締役社長 飯島 幹夫
事 業 内 容 1.医療衛生材料、医療機器、医薬部外品、化粧品、歯科用品等の開発・販売及び輸出入
2.福祉用具、生活支援用具の開発・販売及び輸出入
資  本  金 5,000万円(2012年12月現在)
従 業 員 数 120名(2012年12月現在)