株式会社ROSECC(以下、ROSECC)は、FA(ファクトリー・オートメーション)分野における独立系のシステムインテグレータである。やさしく言うと、工場を自動化するためのシステムのプランニングを行なったり、技術ノウハウの提供やコンサルティングを行なったり、コンピュータシミュレーションを駆使して最適なロボット生産ラインを提案したり、また、ロボットに動作の手順を教える(ティーチング)作業において専門のエンジニアがサポートを行なったりするなど、産業用ロボットに関わるエンジニアリング全般の業務を請け負っている。
独立系だけに、親会社の影響を受けず、自由な立場でベンダーをコーディネートし、お客様本意の企画の立案、プランの提案などを精力的に行ない、今年で設立20周年を迎える。シカゴ、上海にも現地拠点を設ける、ますますグローバルな活躍に期待が高まる躍進めざましいベンチャー企業である。
今回は、堀志磨生代表取締役、及び深谷光信取締役にお話を伺った。
ROSECCは、ロボットに関わる多岐に渡る業務を堀社長を含む営業2名とロボットエンジニアでまかなっているモノ作りの“技術”や“ノウハウ”の提供においてはオンリー・ワン・カンパニーである。「私たちには他の国に負けない生産技術能力がある。これを販売して世界に貢献することができないかと考えたとき、ロボットのオペレーション技術に辿り着いた」と堀社長は言う。要求が早く、厳しいトヨタ系の工場のFA化やロボットティーチングをメインに中部地区での仕事が集中しているが、ロボットに対する昨今の需要の高まりの中、県外や海外の仕事で現地に常駐することなども多くなってきた。案件ごとに営業とロボットエンジニアがプロジェクトチームを組んで活動しているため、営業はいくつものプロジェクトチームを兼務しなければならない。
「このような状況の中、販売管理ソフトとMSアクセスで作成した案件登録DBを駆使して案件管理を行なっていたのですが、あっちを見たり、こっちを参照したりで仕事は煩雑になるばかりで、一向に進捗が掴めない状況でした。ロボットエンジニアを呼んでは、これはどうなっている?と毎日顔を付き合わせて進捗を確認する社長と営業の姿を見ていると、何とかしなければという思いが次第に強くなっていったのです」(深谷取締役)
堀社長にとっては、スケジュールの共有化も大問題であった。同行などで誰もが自由に予定を書き入れられるように手帳は机の上に置いてオープンにしている。スケジュール調整で時間を取られることほどバカらしいことはないという考えからだ。ところが、アポ先の時間は書いてあるものの、移動時間が記されていないため、どう考えても移動不可能な時間帯にアポを設定する者が出てくる。いくら言っても効果は現れず、時間に追われる毎日が続くようになる。
また、案件管理については、ヌケ・モレが防止でき、チームの誰かが商談をしたり、作業したりして進捗させたことが他の人にもすぐにわかるようにし、また、人に指示を出したり、完了報告をするというやり取りがスムーズに行なえる方法を探る必要があるということでグループウエア、及びSFAが検討され、NIコンサルティングのNI Collabo SmartとSales Force Assistantが選ばれた。
「デモンストレーションを見たときは、ショックでした。私がやりたいと思っていた機能がすべて装備されていたからです。これを入れて必要なことを入力しておきさえすれば、考えなくてもいいことは忘れさせてくれる。それに何より、これを使うってことは、結果的にコンサルティングを受けていることになる。すごいぞ、うん!」(堀社長)
最初こそ入力を渋る社員もいたが、誰かの案件を引き継ぐときに重宝することがわかると、誰もが積極的に利用するようになっていった。自分が面倒くさいという理由ではなく、他の人に迷惑をかけることになるという責任感から、商談、開発履歴の情報が蓄積されていったのである。
事件はそんなときに起こった。あるSEが中国に半年間駐在していたときのことである。欲しい情報が日報に記載されていないことに気づき、ないなら入れてやれとばかりに詳細な情報を入力し始めたのである。これに触発された本社の社員は、次第に何が大切で何が不要な情報か自然と判別できるようになり、入力率もさることながら、内容の質がアップしていったのである。質が向上した日報へのコメントほど楽しいものはない。嬉々としてパソコンに向かい、真剣にやりあう社長の姿に感動を覚えた社員も多い。
また、社長のスケジュールについては、アシスタントが乗換え案内の情報をコピペして移動時間として登録しておいてくれるようになったため、無理なアポが入らなくなった。こんなことが解消されただけでも、恐ろしいほどの利益であると堀社長は力説する。
今現在は、100件近くの案件が同時進行し、数千万円という大型案件も10件を数えるようになった。それだけに、1件落とすと大変な事態を引き起こす。
あるとき、こんなことがあった。ある会社との商談で、ROSECCの機械は評判がいいということで、受注はほぼ確実だという内容の日報があった。担当者は順調に商談を進めているようだが、受注額はケタ違いに大きい。堀社長はその案件の履歴を読んでいくうちに、確かにほぼいけそうだが、何かおかしい。しかし、何がおかしいのかはっきりと指摘はできない。そうこうするうち、最後の最後でひっくり返り、失注となった。やはり予感は的中したと思った。だが、そのとき、履歴から受ける印象と直感を信じ、別の案件も密かに進めていたのである。そのとき、その仕事だけに依存して、1ヶ月手を打つのが遅れていたら、全社の売上の8割は失っていたと述懐する。
「大地震の前にねずみが逃げ出すでしょ。あんな感覚なんでしょうね。毎日日報の履歴を読んでいると、見えなかったことが見えてくるようになるんです。人間にはわかりきったことと、わからないことが混在しています。作業効率が良くなったとか、売上が上がったとか、そんなのは見てわかるからいいんです。わからなかったこと、普段考えもしなかったことがわかるようになる。これが、このツールの決定的にいいところです。経営者だったら、やってみるべきだと思いますね。即効性はありませんが、漢方薬のようにじわじわ効いてくるのがわかるから」
ROSECCでは、Sales Force AssistantとNI Collabo Smartのことを「NI」と呼び、親しみを込めて運用している。
「何かあったらNIに入力しとけ!」が合言葉である。
業種 | 導入年月 | 導入製品 | |
---|---|---|---|
機械・精密機器製造業 | 2003年4月 |
✔ 顧客の声 |
株式会社ROSECC | |||
---|---|---|---|
本 社 | 〒465-0025 名古屋市名東区上社5丁目406 TEL(052)704-3800 FAX(052)704-3801 |
||
設 立 | 昭和61年 | ||
代 表 者 | 代表取締役社長 堀 志磨生 | ||
事 業 内 容 | ※産業用ロボットを駆使したFAシステムの企画・設計・製作・販売 ※あらゆるメーカーのロボットプログラミング、ティーチング ※ウォータージェット・レーザー等を使用したカッティングシステムの企画・設計・製作・販売 ※ヴァーチャルファクトリーによる生産技術支援 ※ロボットティーチングスクール |
||
資 本 金 | 6,787万円 (2006年2月現在) | ||
売 上 金 | 12億8,000万円(2006年8月実績) | ||
従 業 員 数 | 29名(2006年4月現在) | ||
事 業 所 | 本社(名古屋)、シカゴ(U.S.A.)、天津市(中国) | ||
I S O 取 得 | 9001(2000年)、14001(2004年) |
Copyright(C) NI Consulting CO.,LTD. All Rights Reserved.