「お客様に商品を買って頂くと同時に満足を買って頂く」を経営の基本方針とするリリカラ株式会社は、創業以来、一貫して快適な生活空間の創造を使命として、個人住宅からオフィス、ホテル、公共施設などの空間作りをインテリアメーカーという視点からトータルに提案している。
今回は顧客満足や作業効率などの付加価値向上に社内インフラの視点から取り組む、システム統括部長・草野和英氏にお話を伺った。
さらなる飛躍を目指して全社一丸で紙の日報から可視化経営へシフト
エクセルと紙で、営業マンがその日の活動報告をするシステムを30年近く続けておりました。しかし、問題も多く、上手く機能していませんでした。
お得意先から帰ってきた営業マンがせっかく日報を作成しても、上司が適切なコメントを返さないケースが一部見受けられていました。そのため、営業マンも真剣に日報を書かなくなり、ますます上司も日報の情報を信用しなくなる、という悪循環に陥っていたのです。
また、提出された情報も上司から課長会議、さらに月例の部長会議と順を追って上層部に報告されていくため、どうしても鮮度が落ちてしまいます。情報の解釈も受け手によって様々ですから、最終的に経営陣までたどり着いたときには元の情報とまったく違っていた、ということもありました。
その通りです。各部門や拠点で情報レベルに違いがありすぎて、ヴィジョンや価値観の共有も図りにくい状況でした。
また、各営業マンがそれぞれ資料を独自に作成しており、それらをひとつに集約して効率的に作業を行えるようなインフラも整備できていませんでした。
そのため、つど営業マンが夜遅くまで作業して、支店や他部門に問い合わせながら事例や資料を掻き集めていました。
しかし、これでは作業効率が悪く、現場の疲弊もたまっていってしまいます。
今回の導入は、ITによるコミュニケーションを通じてリアルタイムに情報共有したい、という現場の営業部門から上がってきたものでした。
そのため、社内の抵抗も少なく、検討から導入まで比較的スムーズでした。
いくつか考えられますが、もっとも大きな要因は現場からのボトムアップであったことでしょうか。システム統括部長の私が言うのもおかしな話ですが、システム主導で導入する場合は、大抵上手くいきません。システム的には万全でも、これまでの手法が変わることへの不満・不安の方が大きいわけです。
しかし、今回は営業部門が先に危機感を感じて、その必要性を経営陣に訴えかけました。こうしたケースでは、イニシアチブはつねに営業サイドにあり、抵抗も少なくすみます。結果として、現場主導でのスムーズなシステム導入に成功したわけです。
システムを定着させ、活用するためには、展開前に社内の管理運用体制を構築することが不可欠です。所詮、システムを活かすも殺すも「人」ですから。当社は元々日報を書く、という文化はありました。しかし、本社のみならず40すべての営業所で同じ仕組みを導入・運用するには、こうした「人」が架け橋となる委員会づくりが必要不可欠だと考えました。
そのため、社長自らが先頭に立ち、札幌から九州までの6拠点に“サポーター”という名称のリーダーを擁立、先行して操作訓練を受けさせました。
こうして教育したリーダーが中心になり、導入のための支援、導入研修のコーディネーターなどを行うことで、大きな支障もなく本稼動にこぎつけたのです。
全社員の気持ちがひとつとなることが大事だと思い作りました。キャッチフレーズは「情報の共有化と財産化」です。
「ええ。特に最近は どこの会社も似たようなものだと思うのですが、営業マンの頭脳や、机の引き出しには、会社に有益な情報が詰まっています。こうした宝の山を放置しておくのはあまりにもったいない。
とくに弊社はユニット単位で決められたエリアを担当するテリトリー制を採用しており、非常にマネジメントしやすいというメリットの一方で、配置換えやユニットの統廃合の際には、蓄積した資料がどこにあるかわからなくなる、顧客情報が引き継ぎできなくなる、というケースが度々起こっていました。
しかし、個人の頭や引き出しの中にある情報を、上手く会社の財産として共有化すれば、顧客の情報が集まり、テリトリー制の弊害も軽減できます。さらに、こうした情報を分析することで市場動向を的確に把握できるようになりますから、開発や販売などの全社戦略にも役立つようになります。
複数の会社を検討するも「最後は人」で導入決定
NIコンサルティングの他に、2社ほど検討先に上がっていました。
大きく3つあります。
一つは、顧客のパーソン情報にまで配慮していた点。他社のサービスは顧客リストを管理するだけの機能でしたが、IT日報は個人の趣味や人柄なども属性別に管理できます。これからは企業でなく、個人で勝負する時代。特に弊社はカタログを持参して、会話しながら相手のニーズを引き出す対面営業に重きを置いていますから、人と人とのつながりがもっとも利益に結びつきやすいのです。
二つ目は、導入後のサポートが充実していた点が挙げられます。検討先にはどこも導入サポートはありましたが、御社のように経営のコンサルティングを主体とはしていませんでした。活動後も親身になってサポートしてくれなければ、せっかくのシステムも死んでしまいますからね。
そして、最後の三つ目は、コンサルタントの人柄です。これは、決してお世辞で言っているわけではありません。私は、その会社の営業マンこそ社風を映す鏡だと考えています。その点、対応してくれたコンサルタントの方は、経営に精通した中小企業診断士でしたから安心感がありました。他の皆さんも親切でハートの熱い方ばかりでした。人が使うわけですから、結局、最後は人との波長がすべてだと私は考えています。
僭越ながら、最後はお褒めの言葉まで頂きました。こうした期待を裏切ることのないよう、私たちも日々進化し成長していきます。
リリカラ株式会社 | |||
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本 社 | 〒160-8315 東京都新宿区西新宿7-5-20 TEL 代表(03)3366-7845 FAX(03)3369-1368 |
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設 立 | 1949年(昭和24年7月15日)[ 創業明治40年 ] | ||
代 表 者 | 代表取締役社長 山田 俊之 | ||
事 業 内 容 | インテリア事業部 壁紙、カーテン、床材の商品企画・開発・販売 襖紙、インテリア関連の副資材等の販売 オフィス事業部門 オフィス家具、間仕切り、OA機器、事務用品等の販売 オフィスインテリアの設計施工 |
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資 本 金 | 33億3,550万円(平成3年JASDAQ上場/公開) | ||
従 業 員 数 | 560名(平成19年12月) | ||
支 店 | 札幌、仙台、大阪、廿日市(広島県)、福岡 | ||
上場証券取引所 | ジャスダック証券取引所(認証コード9827) |