紙の良さを最大限に活かして付加価値を持たせ、より高品質な“製品”として提供する 株式会社高見紙化工所は、長年にわたるコーティング・ラミネート技術などの表面処理加工を通じて広く社会と対話し、貢献することを目指してきた。
今回は、その営業部門で陣頭指揮を執り、同時にCS(顧客満足度)向上にも力を注ぐ高見専務取締役に、IT日報を活用した組織イノベーションについて話を伺った。
当時は、行き先や訪問回数などの記録、日々の売上データの収集はエクセルを使ってチェックしていました。また、データを加工してグラフ化し、営業会議で全員に配布するなどして活用していました。
たしかに、これである程度の情報の蓄積や傾向分析は可能でした。しかし、同時に弊害も起こりました。
「売上に応じた訪問をしっかり行なっているか」「事前の打ち合わせどおりに商談をしているか」「契約後の顧客をおざなりにしていないか」など、より現場に直結するリアルタイムな情報は、訪問回数や売上データだけでは見えてきません。
そのため、じょじょにエクセルでの営業管理に限界を感じるようになりました。営業に対する意識が、ハード面からソフト面に移行したというのが適切でしょうか。どちらか一方だけ、というより、両者ともしっかり見える化しなければ、次のステージへ移行できない、と考えるようになったのです。
具体的には、3つの改善を強く意識していました。
改善点 1
訪問した際の商談内容を営業部門で共有でき、記録として残せるようにしたい。
改善点 2
月単位ではなく、すべての情報を過去から現在まで時系列の中で見えるようにしたい。
改善点 3
営業活動の未来管理をしたい。
はい。実は正直言うと、御社のIT日報を知る以前は、S社のSFA導入をほぼ決めていました。
担当になった中小企業診断士の清永氏が、このように言って、SFAに対する我々の価値観・考え方を一変してくれたのです。
『行動管理やデータ分析は、エクセルでも十分できています。しかし、それだけでは売上が継続的に上がらない、そのことに気づいたから今があるのではないのですか? 今、必要なのは、営業マンの教育・訓練です。IT日報は営業マンの思考訓練には最適です。』
この一言で、我々はハッと気づかされました。ITを使ってデータを収集するだけなら現状のエクセル集計と、本質的にはなんら変わらない、と。
▲「過去、現在、未来、そして社員、それら全てがつなが
って、初めて経営と日報が一体化した」と語る高見専務。
それまでも、弊社なりの工夫でデータ収集や分析を行なってきましたが、売上自体が劇的に向上することはありませんでした。そこに、コストをかけても変化は期待できません。本質は、そこではなかったのです。
「営業マンの力を養う」ことこそ、私たち経営者が取り組むべき事柄でした。このように、経営診断もできるコンサルタントが触媒となって、私たちの思考を変え、視点を変えてくれたことは大変有益なことでした。
結局、その後も御社のコンサルタントが手厚くフォローをしてくれたおかげで、データの収集や分析も以前に比べて格段に効率化したのですが。
人は押し付けられると、どうしてもイヤになってしまうもの。そのため、多少時間がかかってもIT日報の導入を社員全員が受け入れる下地をつくろうと考えました。
私たち幹部はもちろん、すべての営業社員が交代でNIコンサルティングのセミナーに参加しました。また、朝のミーティングで、その内容をかわるがわる報告しあいました。どこをポイントとして感じたか、自社に置き換えたらどのような活用の仕組みが作れるか、など前向きなミーティングを地道に続けていくことで、少しずつ意識レベルを平準化していきました。
すると、営業スタッフたちの間から「エクセルでは限界がある」「ぜひ、IT日報を導入して欲しい」という声が、ぽつぽつと上がるようになりました。その後は、私がつど指示しなくても営業スタッフが自主的に学習して、改善しながら活用していきましたね。
まず、商談や訪問などの時間の流れが、過去から現在まで時系列でつながりました。現在進行形の案件を、先月、先々月と時間を遡って検証できるため、綿密な営業計画が可能となります。
また、訪問もれを防ぐイエローカード、重要顧客をランクごとにメンバーに自動通知する重要顧客通知、など人為的な作業ミスやロスを防ぐこともIT化のおかげで可能となりました。
商談履歴に、次のアクションや次回の訪問予定を必ず入力するようになりました。それが、タイムリーに直属の上司や私のもとに届くため、事前に成果に結びつくアドバイスをコメントしたり、必要な同行営業が行なえるようになりました。以前は、朝出勤してから、どこに行こうか、と決めていましたから、まさに雲泥の差です。
実は、導入して、これが一番、効果が大きかったことでした。これまで営業担当者で止まっていた顧客の声を、現場担当者や事務スタッフまで届けられるようになったのです。
クレームなどの悪い情報は明らかになるものの、良い情報はなかなか表に出にくいもの。その解決には、良い情報を積極的に開示して、褒めることです。すると、不思議と悪い情報も見える化しようとする動きが、組織のなかで高まります。要は、バランスです。ミスやクレームはとことん叱るが、褒めるべき出来事は一切スルー、では誰でも情報を隠そうとするでしょう。そのため、弊社ではクライアントからの「感謝の声」は、その日のうちに営業から技術担当者のもとまで届けるようにしています。
▲営業スタッフだけでなく、技術者の一人一人が製品に対
する「感謝の声」やクレームを共有。日報を介して社員同
士が信頼し合う仕組みが見事なまでに完成されていた。
導入当初、営業強化のためだったIT日報。しかし、今ではお客様の声をすべての社員に伝える伝達手段に変わったという。ぜひこれからも、社員全員のコラボレーションを高めて、企業価値を高める好循環を積極的に生み出していってもらいたい。
私たちTAKAMIは、時代のニーズに次代のテクノロジーで答えながら、印刷媒体“高付加価値化”を追及します。
業種 | 導入年月 | 導入製品 | |
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製造業 | 2008年6月 |
株式会社高見紙化工所 | |||
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本 社 | 〒547-0001 大阪府大阪市平野区加美北1-12-22 Tel 06-6754-7755 Fax 06-6758-0117 |
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設 立 | 1967年(昭和42年2月)[ 法人設立 昭和48年2月 ] | ||
代 表 者 | 代表取締役社長 高見 昇 | ||
事 業 内 容 | 表面化工一式 エンドレスコート・PP貼・ヒシレックス貼 UVトップコート(UVプレス)・ビニールコート 窓貼・箔押・浮出・エンボス加工・合紙・他 |
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資 本 金 | 1,000万円 | ||
従 業 員 数 | 50名 |