サーミスタ専業メーカーでありガラス封止サーミスタの大量生産技術を確立し、NTCサーミスタの世界的リーディングカンパニーとして世界トップシェアの株式会社芝浦電子様。SFA活用を中心に代表取締役社長の葛西 晃氏、執行役員 営業本部長の笹渕 博志氏、営業企画課 課長の渡邉 修一氏にお話を伺った。
――御社の主力製品である「サーミスタ」について教えて頂けますか。
葛西:サーミスタとは、温度変化に対して抵抗値が大きく変化する電子部品です。抵抗値が変化するという特性を活かして、温度の制御を行うことができます。製品の中に組み込まれる部品のため、皆さんがサーミスタを直接目にすることはあまりないと思いますが、例えば自動車ではハイブリッド自動車の部品で利用されています。他にも温度制御は空調機器、白物家電、給湯機器、調理機器、暖房機器等の皆さんの身の回りのあらゆる製品で、弊社のサーミスタをご利用頂いています。
――御社のサーミスタの特長を教えて頂けますか。
葛西:弊社は、1953年の創業以来、サーミスタ専業メーカーとして事業展開をしています。製造拠点は国内の製造子会社に加えて、国外ではタイのメイン工場及び中国にあります。弊社の特長は対応できる温度帯が広いことです。-50℃~1000℃まで対応することができます。お客様は世界各国にいらっしゃいます。サーミスタで世界トップシェアとなっています。
――まさにグローバル企業ですね。そうした御社が弊社のSFAをご検討頂いた経緯は何だったのでしょうか。
渡邉:SFAの導入検討は2011年位から行い、2012年に運用開始しました。弊社は取り扱い品目の数が多く、常時数千件の 案件管理を行う必要があるのですが、この管理が大変でした。エクセルで案件の一覧表を作成して、それを印刷して一行一行眺めながら、定規で下の行が目に入らないように隠して案件の進捗の確認をするということをしていました。今思うと、大変なことをしていました(笑)。こうした案件管理を改善したいと考えていた際に、御社のパートナー企業様からの紹介で、SFAを知り導入に至りました。
――実際に導入頂いて、如何でしたか。
渡邉:案件別の現状に加えて、対応の履歴が残るため案件管理が格段に分かりやすく、楽になりました。また、管理できる案件の数が大幅に増えました。SFA導入前の過去50年で追っていた案件数と、SFA導入後の8年間で登録された案件数がほぼ同数です。SFAでは受注以外の案件も登録されるためですが、案件の見える化が大分進んだと思います。
――受注案件以外にも管理できる案件数が増えるのは、SFAの一つの効果ですね。他は如何でしょうか。
渡邉:営業担当者の引継ぎもしやすくなりました。担当変更があると案件が多いため、引継ぎが大変だったのですが、SFAで履歴が残ることで、引継ぎにも良い効果が出ています。また、2017年には見積共有管理、その後はSales Quote Assistant(以下、SQA)も導入しました。見積管理も当時は紙でした。案件別に紙でファイリングをしていたのですが、きちんとファイリングする人とそうでない人と差があって大変でした。SQAではこれまで行っていた案件管理をベースに見積作成・承認・保管が出来るので整理がしやすく、分かりやすくなりました。
――お役に立てた話をありがとうございます。葛西社長はSFAについてはどうお考えでしたか。
葛西:私は導入当初は不安でした。営業担当者が日報登録することが仕事になってしまうのではないか、という不安があったのです。しかし今ではすっかり定着したと思います。私も日報を見て、コメントをしていますよ。
――社員が日報登録ばかりするのではないか、というご不安はよく伺います(笑)。しかしお役立て頂けているようで何よりです。笹渕本部長は如何ですか。
笹渕:私はSFAを売上見込みの管理にも利用したいと思っています。現在も利用しているのですが、もっと改善できるのではないかと考えています。あと、外国語対応がもう少しできると良いですね。現地の社員が利用しやすくなります。
渡邉:英語の表記もできてはいるのですが、自分達が自由項目で作成した項目は自分達で翻訳しないといけないので、それが手間ですね。かなり色々と項目を作っているので。
――ご指摘頂き、ありがとうございます。弊社での今後の課題ですね。改善していきたいと思います。
渡邉:最近では私の部署でSFAの登録内容を基にBI(Business Intelligence)での利用に取り組んでいます。運用開始以来の色々なデータが蓄積されているので、利用したいと考えています。
――なるほど。意欲的ですね。いわゆるBIツールとは異なりますが、登録データを基に様々な切り口でデータ集計・分析をお考えでしたら、MapScorerというオプションツールもありますので、ぜひご検討下さい。
さて、今年はコロナウイルス一色という感じの一年でしたが、御社の営業にも変化はありましたか。
笹渕:顧客訪問がしづらくなり、Web会議システムでのやり取りが増えましたね。出張は大分減りました。おかげで交通費もだいぶ削減はできたのですが、営業効率が上がっているのかというと、どうだろうか、というのが正直な所です。やはりリアルに面談しないと、より深い話がしづらい、と改めて実感しています。
葛西:私が見ている限りでは、技術者の顧客対応にはプラスになっていると思います。Web会議を利用する前は、お客様の所に営業担当者との同行は工数的に難しいことも多かったのですが、Web会議であれば、移動工数は考えなくて良いので、Web会議に同席がしやすくなっています。
――弊社では今年は、非接触の営業スタイル「コンタクトレス・アプローチ」をお客様に提案してまいりましたが、やはり一長一短ありますね。展示会やセミナーなどのイベントは如何ですか。
渡邉:リアル開催の展示会は軒並み中止になりました。またリアル開催の展示会が、急遽オンラインに変更になったものがあり、その対応がなかなか大変でした。運営面でもまだまだこれからという印象です。
――展示会以外にもWebセミナーのようなイベント開催もしやすくなっていますね。ぜひお取り組みになってみて下さい。
営業面での課題は何でしょうか。
葛西:新規顧客に新しい製品を販売していく、というのが弊社の営業の課題です。既存のお客様の既存の製品対応に留まってしまっています。新しいテクノロジーをお客様に広めていくということをしていきたい。そのための研究開発はどんどん進めていきます。
――新たな事業展開もお考えなのですね。
葛西:現在は全体に対して、自動車の比率が高いです。自動車は今後EV(電気自動車)化が進みますが、本当はHV(ハイブリッド自動車)の方がありがたい。エンジンと電気で両方サーミスタを使いますから(笑)。今後も自動車業界は動力の動向を見ながら、対応を進めていきます。自動車業界以外でも、ますますサーミスタの市場でシェアを上げていきたいと考えています。
――益々のご発展のお力になりたいと思っております。最後に、弊社に対してのご要望をお聞かせ下さい。
渡邉:多言語化を進めてもらえると良いと思います。
笹渕:案件管理をより強化したいと思います。数字見込の管理等も改善の余地があると思っています。他の利用企業の皆さんの事例も知りたいですね。
――グローバルトップ企業の御社のお力になれるように、弊社のサービス、ソフトウェアも改善をしていきたいと思います。
本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。